沖縄の火の神、ヒヌカン って?
~暮らしに根付く文化~

沖縄の火の神、ヒヌカン って?~暮らしに根付く文化~

 
日本には、海・山・風のような自然や現象を司る神々や、衣食住や生業を司る神々や、国土開拓の神々など、さまざま八百万の神様が祀られています。
今回は、沖縄で古くから信仰されている火の神様「ヒヌカン」についてご紹介します。

 

ヒヌカンとは?

ヒヌカン
 
家の中に住む神様で、「火の神」と書いて「ヒヌカン」と読みます。
天の神々へ家族の報告を行う家の守り神とされ、古くから沖縄の家庭で信仰されてきました。
 
「かまどの神様」と呼ばれることもあり、家庭にかまどがあった時代は、かまどの後ろに3個の石として祀られていたんですよ。
かまどのある家庭が減った現在は、台所に香炉、水、塩、犬槙(いぬまき)や榊を供え、祀るのが一般的です。

 
台所に祀ることから、昔は主に台所を担ってきた女性の神様ともされています。母から娘へ代々継承される神様です。

 
 

ヒヌカンにまつわる行事

沖縄ヒヌカン
 
御願解ち(ウグァンブトゥチ)
毎年旧暦12月24日から1月4日の間、ヒヌカンは天に帰り、天にいる神様へ、その家の一年の事柄を報告します。
天へ帰るヒヌカンをお見送りする旧暦12月24日には、一年の祈願を請い下げる御願解ちを行います。
家じゅうの大掃除を行うと同時に、ヒヌカンの香炉の灰を整えたり、御願具を清めた後、この一年の不幸などが終わるように願います。
 
なお、ヒヌカンの依り代は香炉の灰とされているため、やたらむやみに掃除をしないものとされています。そのため、掃除は年2回のお彼岸と、旧暦12月24日に行うんですよ。

 
火の神迎え(ヒヌカンウンケー)
旧暦の1月4日は昇天したヒヌカンが人間界に戻ってくる日。ヌヒカンが人間界へ下りやすいように、線香で階段を作ってお供えし、盛大にお祝いをします。

 
 

ヒヌカンにまつわるスポット

おきなわ郷土村・ノロの家
 
おきなわ郷土村
海洋博公園内のおきなわ郷土村には、ノロの家と呼ばれる、村落の神事や祭祀を司る神女の家があります。屋敷内には火の神(ヒヌカン)を祀る、「ノロ殿内(ドゥンチ)」といわれる建物がありますよ。
おきなわ郷土村では、琉球王国時代の沖縄の村落を再現しており、当時の人々の暮らしを肌で感じることができます。
■アクセス:沖縄県国頭郡本部町山川

 
喜如嘉ヒンバ森
見晴らしの良い、小高い丘です。
ドラマ「ちむどんどん」では、やんばる村全景のロケ地として使われました。
頂上からは伊是名島、伊平屋島が見渡せ、自然の雄大さを感じることができます。
祭祀の場には、喜如嘉集落の火の神(ヒヌカン)が祀られていますよ。
■アクセス:沖縄県国頭郡大宜味村喜如嘉

 
地頭代火ぬ神
浜比嘉島の「地頭代火ぬ神」では、火の神の依代として3個の霊石が祀られています。
立身出世の神としても有名で、進学や旅立ちの際に祈願するようですよ。

■アクセス:沖縄県うるま市勝連浜91

 
 
ご紹介したスポットは、どこもヒヌカンを祭る神聖な場所とされています。地元の方が御祈願で使うことのあるスポットも含まれていますので、訪問する際は十分にご留意くださいね。

 
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